そこの遅延を忘れてた
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以前 Mac で使うウルトラワイドゲーミングディスプレイが心地いいと書いた(→ 2023.3.15)。
明らかにレスポンスがよくなったし、ProMotion ディスプレイを搭載しているのが M1 Pro 以上の MacBook Pro だから心配していたマシンの負荷も、無印 M2 の MacBook Air でも十分にヌルヌル動かす性能があるのを実感できた。
特に macOS はもともと 1px 単位の慣性スクロールがスムーズに動く App の数が Windows よりも圧倒的に多く、それらのほとんどが OS の進化で自動的に高リフレッシュレートに対応したわけだからあらゆる作業でこのメリットを感じることができるのだ。
「私はゲームしないから 60 Hz で十分」なんて言ってる人たち、一度高リフレッシュレートのディスプレイを触ってみてほしい。
ただし自分は Surface Laptop Studio や MacBook Pro 上位モデルの内蔵 ProMotion ディスプレイ(いずれも 14 インチで 120 Hz 対応)ではほとんど感動しなかった。デスクトップ用のディスプレイでこそ動く面積が大きくて効果ある気がしている。
そこで触れたように大きいディスプレイこそ高リフレッシュレートの効果を実感できて気持ちがいいのは確かにそうなのだけど、どれだけ 160 Hz でヌルヌルに動く環境に慣れても 60 Hz の MacBook Air を単体で触るときには内蔵ディスプレイで満足している自分がいることにうまく理由を見つけられずにいた。
逆に言うと、MacBook を普通のディスプレイに繋いで本体のフタを閉じてクラムシェルで使うときに何とも言えない気持ち悪さがあるのだ。
原因はクラムシェル?
ところで最近になって食卓を簡易作業スペースとしても使えるように 16 インチのモバイルディスプレイを設置した。小さくて 27 インチとかみたいに場所をとらないから圧迫感もないし、MacBook Air の内蔵ディスプレイと差が小さいから縦デュアルにしても違和感なく行き来できて便利。
そこでふと気づいた。なぜかその状況だと前述の気持ち悪さを感じないのである。このモバイルディスプレイも 60 Hz だというのに。...もしかして、気持ち悪さの原因はクラムシェル運用にあるのかもしれない!
Magic Trackpad の遅延とディスプレイの応答速度
これまでディスプレイばかりに注目してきたけど、このデュアルディスプレイ環境とクラムシェル環境と比べれば違いがもう一つある。入力デバイスだ。Mac のトラックパッド大好きな自分はクラムシェルモードでも Magic Trackpad 2 を愛用している。これって Bluetooth 接続だから、よく考えれば遅延が発生するはず!
Apple のコミュニティページに寄せられた OstapBender 氏の発言に具体的な数字が書いてあった:
I've got a Magic Trackpad 2 and measured its input lag:
- Start lag: about 45ms
- End lag: about 100ms
(中略)
A built-in MacBook trackpad is the undoubtable number one.
45 ms といったらなかなかの数字。ここにディスプレイの入力遅延や応答速度なども加わり、指での操作が表示に反映されるまでの遅延となる。
つまり、人間の感覚は思っている以上に敏感で、0.1秒(100ms)の遅延が起これば絶対に「遅っ!! なんだこのポンコツモニターは!?」と感じるんですよ。
- 1ms~16ms:ほとんどの人が「ラグはほぼ無い」と感じられる水準(1フレーム以下の入力遅延)
- 16ms~32ms:だいぶ遅いものの、一般的なゲーマーなら問題無い水準(1~2フレームの入力遅延)
- 32ms以上:人によってはラグを感じられるし、競技性の高いゲームならストレス要因に(2フレーム以上の入力遅延)
要するに、瞬時の操作が勝敗を分けるゲーミングディスプレイは入力遅延や応答速度の性能が高く、おかげで Magic Trackpad の遅延を打ち消してくれていたのだ。そして MacBook Air 単体もしくは前述のデュアル環境で作業するときは内蔵トラックパッドを使うからそこでの遅延が少なくて気にならずにいたということ。
特に誰からも共感は得られないだろうけど「Magic Trackpad 使うならゲーミングディスプレイ」という個人的な結論に達した。
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