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27 インチの 4K 表示は使いやすい? - LG 27UD68-W

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久々にディスプレイを買ったという(昨年末の)話。

内蔵ディスプレイ生活からの脱却

5 年ぐらい前、13 インチの MacBook Pro を使っていた頃は 23 インチ Full HD の外部ディスプレイを接続して使っていたのだけど(→ 2012.7.30)、15 インチ Retina ディスプレイの MacBook Pro に乗り換えてからは(2012.11.3)ほとんど内蔵ディスプレイしか使わない生活になっていた。

それは必要がなかったからというよりも、必要な条件を満たす製品が存在しなかったのだ。MacBook Pro の Retina ディスプレイは美しくて見やすいという点で理想的だけど、やっぱりちょっと狭い。この美しさとある程度の大きさを両立させたかった。

2015 年末、やっと希望通りの製品が出た!

人の評判を聞けない不安がありつつも、発売してすぐ購入したのだ。個人的には初の LG 製品。これまでならまず避けていたメーカーだけど、今回は選ぶだけの理由があった。

(数ヶ月経った今では人の評判も読めるけど、amazon では複数の製品の 1 バリエーション扱いになっていて、ユーザレビューを読んでも別の製品の話が混ざっているので注意。まとめるのはサイズやカラーの違いだけにしてほしいといつも思う...)

↑ 作業机に置く前に別の部屋で動作確認。ここの方が写真映えするという理由も...

ちなみに付属のスタンドは使用せず、前のディスプレイでも使っていた Ergotron LX アームに取り付けて使っている。付属スタンドだとちょっとした振動でグラグラするらしいけどそこは無評価。

27 インチで 4K = HiDPI 表示で使いやすい

解像度非依存の実験的な実装が始まった OS X 10.4 Tiger が 2005 年。Mac に Retina ディスプレイがやってきたのが 2012 年。そして 2016 年現在、高解像度ディスプレイに 200 % 以上の HiDPI 表示をする Mac や PC はもう珍しくない。

「消費(スマートフォンやタブレット)はともかく生産(PC)には高解像度ディスプレイや HiDPI 表示なんて必要ない」とか「PC は作業領域の広さがすべてだ」なんて主張する人がいて賛否両論あるけど、自分はもう 100 % 表示の Mac や PC なんて触りたくない。

確かに違う意見の人が多く存在するのもわかるけど、ウインドウベースの作業環境って人によってまったく使い方が違ってくるから絶対的な正解はない。あくまでも自分だけの話。昔からスクリーン全体を覆わない程度に大きいウインドウをいくつも重ねて作業中に何度も command + tab や Exposé で切り替える使い方をしていて、重ならないように同時に並べるような使い方はしない。なので作業領域の広さはほどほどでよく、離れていても見やすいように(物理的に)大きめの UI を美しく精細に表示してくれる方がモチベーションが上がるし、拡大しなくても細部を確認できるから作業効率も上がるのだ。

そうすると Full HD サイズの作業領域に 200 % HiDPI で表示できる 4K(3840 × 2160 px)解像度は現在手に入る中ではベストだった。ただし今回購入したディスプレイは 27 インチなので、21.5 インチ で 4096 × 2160 の iMac 4K よりも小さい解像度になるから間延び感がするのではないかという心配があったのだけど、表示してみたらちょうどよかった。離れていても見やすい大きさでありながらドットの荒さも感じない。老眼の人にもいいかも。

そして Mac との相性も悪くない。Retina ディスプレイを搭載する MacBook Pro が登場してから何年も経つのでさすがに OS X の対応は何の問題もなかったし、ほとんどのアプリケーションが HiDPI で美しく表示してくれる。Mac が古すぎるとだめだけど、対応する Mac(→ Mac で 4K ディスプレイと Ultra HD TV を使う - Apple サポート)なら DisplayPort から一本つなぐだけですぐ使用できるはず。mini DisplayPort ケーブルが付属しない点だけは注意。開封後どきどきしながら MacBook Pro 13" Mid 2015 に前のディスプレイで使っていた DisplayPort - mini DisplayPort のケーブルでつないだところ、HiDPI で精細な画面があっけなく表示された。

DisplayPort が 1 つあるほかは HDPI 2.0 ポートを 2 つ備えている。Wii U を接続したらそれも問題なく映った。

ほぼ無駄のないデザイン

ディスプレイに求めるものは人それぞれだけど、個人的には「余計なものが視界に入らない」というのが重要な“機能”。作業中にディスプレイの操作ボタンや型番が見えている必要はない。表示している内容が重要なのであってディスプレイそのものには限りなく存在感を消していてほしいのだ。メーカーのロゴだって必要ない。それは iMac や Thunderbolt Display にも言える。左上にアップルメニューが一つ見えればそれで十分。別に Apple マークが嫌いなわけではない。MacBook Pro、iPhone、iPad のフロントには一切ロゴや製品名が見えないけど触っているだけでブランドの世界観や価値観が強力に伝わってくるし、それが一番気持ちいい。

2011 年に購入した NEC のディスプレイはひどいデザインだったけど、ここ数年は人々の求める水準が上がってきたようで Apple 以外のディスプレイ製品を見ても裏面に無駄な段差がなかったりフレームレスパネルだったり狭額フレームだったりしていていい傾向だ。ただしそのほとんどが売れ筋の Full HD で、4K ディスプレイについてはあまり魅力的な製品がなかった。

ついに登場したこの製品は、4K ディスプレイでありながらフレーム上にボタンが存在しないすっきりしたデザイン、そして何より驚愕の狭額フレームで机の上での存在感や圧迫感が抑えられていてほぼ理想的。

ただし狭額フレームといっても下端だけは太いまま残っていて LG のロゴが存在する。この点はちょっと惜しいけど、昔みたいにピンク色ではなくなったし DELL のように立体的な加工もされていないからそんなに悪い印象ではない。後日、鉛筆で目立たなくしてしまったけれども。

その下端フレームにも思わぬ存在価値があった。最初から Ergotron LX アームに設置する前提で買ったのだけど、狭額フレームだと動かすときにつかむ部分がほとんどないことに気づいたのだ。下手に左右を押すとパネルに力がかかりそうだし、安心して触ることができる貴重な場所。

ボタンが減っているのに操作しやすい工夫

一台の Mac だけをつなぐ前提の Apple 製ディスプレイは例外として、ほとんどの製品は入力を切り替えたり明るさやコントラストのような設定を調節するための画面(OSD - オンスクリーンディスプレイ)を備えていて、フレームのどこかにそれを操作するためのボタンが並んでいることが多い。先ほども触れたようにこれが嫌で仕方ない。

メーカーによってはボタンを側面に移動したり、Android デバイスみたいに静電容量式のボタンが必要なときだけ光るようにしたり、ラベルのないボタンを並べて押すと役割が画面内に表示されるようにしたりという工夫をしているのを見かけるけど、どれもそれほどすっきりしないし操作しやすいとも思えなかった。

このディスプレイはフレームにも側面にも凹凸がなく、操作部は本体をかなり下の角度から覗き込むとやっと見える位置にある小さいジョイスティック。押し込むボタンとしても機能する。

この話だけでは「見た目重視で使いにくいデザイン」のように感じられるけど、触ってみるとこれがなかなか使いやすいのだ。見えなくても触りやすい形をしているし、傾けようとして押し込んでしまうこともない。何よりも OSD の UI がこれを前提として一から考えて作られているのが大きかった。

↑ 押し込むとまず表示される円形のメニュー。何をするにはどうすればいいのか誰が見てもわかる。

↑ それぞれの画面は OS X 以降の Apple 製品によくあるような左から右に掘り進む UI。スティックを倒すだけで移動できるし、閉じたければ左に戻っていけばいい。

適切な選択をして製品を作ることで、見た目の“無駄なひっかかり”をなくしつつ使いやすさも向上させている。まさかこの会社の製品に感動するとは思わなかった。ディスプレイ製品についてはすっかり LG のファン。ロゴをなくして 4 辺とも狭額フレームにした製品(Full HD だけど)を最近出したし、「自分が得をする製品」を開発してくれるメーカーは応援していきたい。

(ただしサポートについては悪い話も聞くのでちょっと不安。不具合なく使い続けられますように...)

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