ひtoりgoと

Mac 中心でもハイスペック Windows デスクトップ PC を持つ理由

Mac ハードウェア

自分にとっての Windows マシンの立ち位置をまとめておく。Mac でほとんどの作業をこなしてきた自分が Windows マシンを所有する意味とは...?

ちなみに今後こういう話題をする機会はほとんどなさそうだからこの記事は既存の“Mac ハードウェア”カテゴリに並べる。Mac の話もたくさん出てくるので許してほしい。

ゲーム環境に向かない Mac

かつては Mac でいろんなゲームを遊んだものだけど、もう Mac にゲーム環境を構築するのはやめた。

ゲームはコンテンツ。この時代に 70 年代の音楽を聴く人が普通にいるようにゲームだってリリースから数年経ったからといってツールのような勢いで価値が落ちるものではないのだが、その際に新 OS に合わせたアップデートを提供してくれることは稀である。

最近でも Apple Silicon 移行とか Catalina の「32 bit アプリケーション切り捨て」があったみたいに macOS は過去に何度も大幅なアーキテクチャ移行をしており、一時的に Classic 環境や Rosetta みたいな橋渡しを提供するもののその後は容赦無く切り捨てる文化だ。おかげで Windows みたいに 90 年代を感じるダイアログがそのまま現れることはないし開発言語や API も歴史的経緯による変な部分が比較的少なくてわりときれいなのだが1、「同じソフトが 15 年後動くのか」を考えるとゲームみたいなコンテンツを溜め込むのには明らかに向いていない。

Classic Mac OS 向けだった Bugdom なんてとっくに動かないが、Wine で Windows 版だと遊べてしまうという逆転現象もこれを示している:

Wine で Bugdom

また、ゲームは基本的に独自の UI でフルスクリーン表示するので macOS らしい UI のメリットもないから、素直に強力なグラフィックボードを積んだ Windows PC で構築するのが正解だろう。

薄い iMac にはとても入らないグラフィックボード

ちなみに Apple も「Mac はゲームに向かない」と言われるのを意外に気にしているようで、ゲームコントローラ対応とか Apple Silicon Mac で iOS App を動かすときの設定項目として WASD キーでチルトをシミュレーションする機能があるのを見ていると、iOS App Store のカタログの規模を活かして巻き返しを図ろうという野望が見てとれる。

ゲーム向きな設定

とはいえ気軽に携帯するなら Nintendo Switch があるし、どうせ腰を据えて遊ぶなら高画質がいいと考えると Mac でたくさん遊ぶ未来が来る気はしない。巨大エコシステムを手に入れた今の Apple が再びゲーム専用機を出したりすれば少しは状況が変わるかもしれないが...

「macOS らしさ」の追求を後押し

昔ながらの Mac 原理主義者って「Mac は絶対的に最高!」「Windows を触るなんてありえない!」なんて思想の人がほとんどだけど、自分は方向が違っていて「自分の Mac には macOS らしさ溢れるネイティブ App しか存在してほしくない」という気持ちだけがとにかく強い。

そのためには Chrome とか Microsoft Office とか Visual Studio Code みたいな Mac らしくない手触りの App を隔離する環境があることで逆に理想的な Mac 環境の実現につながる2

くだらないこだわりに見えるかもしれないが、単なるユーザならともかく、各プラットフォームに溶け込むアプリケーションを作りたい開発者でもあるのでそれぐらい極端でいいのだ。「macOS/Windows は〜〜だからダメだ」なんて主張するよりもそれぞれの好きな部分や得意な部分を積極的にいいとこ取りしていきたいし、それぞれの目指す手触りや空気感を常に感じていたい3

大型デスクトップの方が存在感が消える

職場で Windows 環境が必要になって最初に DELL のちょっと高級なラップトップ PC を支給してもらったのだが失敗だった。確かに質感は悪くないし NVMe SSD と Core i7 で快適な生活が待っているかと思いきや、ちょっと Visual Studio でコードを編集しているだけでうるさいファンが回り、しかも冷やしきれないのかサーマルスロットリングで性能がガクッと落ちる。キーボードも熱い。裏面に排気口があるくせに同時期の Intel MacBook Pro よりひどい。「Mac のトラックパッドと同等になった」と聞いていた高精細タッチパッドも完全に期待はずれ4

教訓としてその後は Windows マシンは大型のデスクトップ PC しか使わないようになった。重い処理にも動じずどっしりと静かでいてくれると下手に薄い本体が熱くてうるさいよりも精神的にいいし、いい意味で気持ちから存在が消えてくれる5。もちろんただ筐体が大きければいいわけではなく静音のパーツで揃えることが必要である。CPU、グラフィックボード、電源、HDD など、動作音を生むパーツがいくつもある。基本的には大きいパーツの方が無理せず放熱面積を広くとれるしファンも大きい方が回転数を下げられて不快にならない低周波音になるので使っていて快適だ。そうなると結果的にマシンの存在を意識しなくなる。

冷却性能と大きさはトレードオフ

一家に一台・ハイスペックマシン

薄型筐体・低消費電力志向な MacBook や iMac の GPU を強化したところで性能は知れている。かと言ってゲーミング Windows ラップトップみたいにバッテリーがもたず巨大な AC アダプタ必須な世界もあまり魅力を感じない。M1 Mac みたいに低消費電力でそこそこの性能が出るマシンで快適に長時間バッテリー駆動の作業をしつつ、最終的なビデオ圧縮とか 3D アニメーションレンダリングみたいな時間のかかる処理はデスクトップ PC でがっつり行うのが自分にとっては快適な組み合わせだ。薄型筐体の Mac で長時間負荷をかけると処理部の発熱がバッテリーなどにも伝わって寿命に悪影響でもある6

それはともかく、家のどこかにハイスペックマシンがあれば、数年前の VR みたいに高性能 PC 前提の新しい技術が登場したときに「どうせ自分は Mac だから関係ないや。」と諦める必要がない。テクノロジーに興味がある人は持っていて損がないだろう。

また、強力なデスクトップ PC を 1 台用意することで普段使いのマシン(Mac)の選択も自由になった。「いざとなればあれにやらせればいい」という安心感のおかげか高価なモデルにする理由がほとんど消え、今後は見た目とか持ち運びやすさ重視で選んでもなんとかなりそう7

“自作”はそこまで難しくない

ある程度は規格を知っていて「こういうのが欲しい」という希望があれば、自分でパーツを買い揃えて組み立てるのも悪くないだろう。俗に言う“自作 PC”である。自分で全体像を把握することになるから既製品を買うよりも後からの修理やアップグレードがしやすくなる。

よく「Mac ユーザは PC の仕組みを知らないから自作は難しい」とか聞く。確かにそういう人も多いけど、古い MacBook のメモリやハードディスクを交換したことがある人ならそこまで難しくないと思う。あれより大きいネジが多いし Y 字や星形のような変なネジ頭は登場しない。

むしろ自分みたいに分解を想定していない Apple 製品を分解し、両面テープやツメだらけの世界と格闘したことがあると(→ 2014.6.20)、自作 PC の世界は最初からユーザによる組み立てが想定されているので圧倒的に簡単だった。組み立て作業よりもパーツ選びの方が悩ましいかも。

小さいケースの初号機

ちなみに最初は場所とらない方がいいと思って小さい規格(Mini-ITX)のケースで組んだのだが、狭い箱にパーツを入れるのは窮屈で作業しにくいしのちのメンテナンス性も悪くなると体感したので、現在のマシンはもう一段大きい規格(Micro-ATX)で作ってある。どちらにしても邪魔なのは変わらないし個人的にはこのサイズがおすすめだ。

ひとまわり大きくなったサイズを活かしてかなり巨大なクーラを入れた8。CPU を冷やすだけなのにゲームキューブぐらいのサイズがある。

さすがにでかい
大きいケースはメンテナンスが楽

これを考えると薄い筐体の Mac の M1 チップがあれだけの性能を出せているのは驚異的だ。もちろんこうやって冷やして大量の電力を注ぎ込んだ Ryzen のデスクトップ向けハイエンド CPU には負けるのだが、あれファンレスで動いて長時間バッテリー駆動できるわけで...

Windows の気持ち悪さの正体

Mac 慣れしすぎたせいか、自分もある時期まで Windows の UI に気持ち悪さを覚えていた。触っているとなんとも言えない不快感に満ちてくるので手元に所有することがなかった。

あるとき誰かの「Windows は英語版だとわりとかっこいい」という話を聞いてはっとした。自分の嫌いな部分ってほとんどが日本語由来だったのではないか...? 「カタカナ ひらがな ローマ字」「半角/全角 漢字」「変換」「無変換」などが乱立したキーボード、「ファイル(F) 編集(E)」みたいな目にうるさいアクションキーの表示、そして文体に統一感のない UI 表記9などなど...

バラバラな文体

US キーボードにすれば Mac と同じぐらいすっきりしているし、アクションキーは alt を押したときに「File Edit」のような下線が表示されるだけだ。英語の UI 表記も明らかに変な部分が少ない。Mac ユーザに不評なテキストレンダリングもシンプルな字形のアルファベット前提で作られているのか綺麗な気がする。

昔から「UI が汚い製品でも設定を英語にすれば好印象になる」ということは体感していたのだけど、Windows については「あれは汚いものだ」という思い込みが強くて英語版を試していなかった。

「英語版」とはいっても昔みたいに完全に製品が分かれているわけではなく、最近は OS X 以降の Mac みたいに後から表示言語の切り替えが可能な設計になっているので気軽に試せる。なんとなく Windows が気持ち悪く感じる人は試すと印象が変わるかもしれない。英語に抵抗がなければの話だけれども。


  1. Swift 3 ぐらいまで何度も既存コードが動かなくなって修正が大変だった。C# ではあり得ない話。長い目で考えればあの時点で変な負債を残さずに済んでよかったのだが。 ↩︎

  2. それでも Aperture 終了の件以来、巨大データベースを Apple ソフトウェアに溜め込むのは怖くなった。 ↩︎

  3. 実は Windows App を作る機会が多い人間でもある。 ↩︎

  4. ボタンを押し込む途中でカーソルがブレる、親指を指の本数から除去してくれないことがある、二本指を離してもスクロールモードが解除されない、そもそも行単位でカクカクしたスクロールしかできない App が多い、など言い出すときりがない。 ↩︎

  5. ラップトップ PC だと小さいように見えて意外に場所とるし。 ↩︎

  6. なんて言いつつちょっとしたビデオ圧縮ぐらいは Mac でやってしまうのだけど、それは“冷えて薄くなるスタンド”(→ 2019.8.18)の存在が大きい。M1 の低発熱も相まって、たとえ長時間 CPU をフルに使っていても巨大ヒートシンクのおかげで発熱部以外はぬるいままキープできる。昔と違って高負荷状態であってもほかの作業がわりとスムーズに動くから多少の時間がかかっても気にならないし。 ↩︎

  7. もちろん M1 Mac の登場でエントリーモデルの基準が一段上がったのが大きいのだが。 ↩︎

  8. 空冷のかわりに水冷も定番だけど液体の扱いが怖いので手は出さずにいる。Power Mac G5 の終盤のモデルで水冷が導入されたが数年後に漏れてしまった話があったし。 ↩︎

  9. 普段からそういうことに気を使って開発している人間なので気にしないわけにいかない。 ↩︎

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