iPod Hi-Fi で目を覚ます日々
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以前、第三世代 iPod が最高の卓上音楽プレーヤーだと主張する記事を書いた。(→ 2015.8.25)
そこではもうこの iPod を現役では使っていないと書いたのだけど、その後状況が一変。この 1 年ぐらいは毎日音楽を鳴らしている。
2017 年にもなって“あれ”がやってきたからだ。
...そう、iPod Hi-Fi である。
iPod Hi-Fi という製品
iPod Hi-Fi は「ホームオーディオを再発明」というキャッチコピーで登場したスピーカー。アンプを内蔵し、iPod Dock と一体化しているので iPod を乗せるだけで充電しつつそのまま音楽を鳴らすことができる。ホームオーディオをこれに置き換えれば生活が変わる、iPod 並みの画期的な製品だ。
...と言うには 1 年ぐらい登場が遅かった。すでに Bose などのオーディオメーカーによる同等の製品が市場にいくつも存在していて、自分も「どこが再発明だ」「こんなの Apple が出す必要ないじゃん」と思ったものだった。ジョブズも失敗を察したのか、たった数ヶ月で引っ込めて短命に終了した幻の存在1。
なぜこの時代にわざわざこれを...?
目覚まし時計が欲しい
朝起きるのが苦手だという長年の悩みがある。気持ちよく目覚める方法はないだろうか...
そんなことを思っていたある日のこと。ときどき古い Apple 製品コレクションの写真をさりげなくツイートして自慢している人がいるのだけど、そこに iPod Hi-Fi が登場したのだ。
「ぅゎ、懐かしいなー、買う人いたんだ〜」と思うだけで特に意識していなかったのだけど脳にはしっかり焼きついていたようで、日を追うごとに自分の中で iPod Hi-Fi が目覚ましに最適である理由が増えていってしまい、気づいたら自分の手元にも...
iPod Hi-Fi である理由 1:ノイズではなくリアルな音
普通に鳴るだけのものから布団の下で振動する恐ろしいものまで色々な目覚まし時計を試したけど、うるさい音、耳障りな音、不快な刺激で起きる試みはどれも失敗している。
自分の場合、脳に「有害」認定されてしまうと意識がないまま処理してしまう。枕元にある機器のアラームをセットして就寝するもその時間に起きることなく、しばらくして目が覚めて「鳴らなかったな」と確認するとしっかり解除されているという経験は山ほどある2。止めた記憶はまったくないのに...!
音楽を鳴らすにしても鳴ればいいというものではない。中途半端な聞こえ方をすると夢の中の BGM もしくはそこでの小道具から聴こえる音に化けてしまうため効果がない。何度夢に騙されたことか。目覚ましにこそいいスピーカーが必要なのだ。
その点 iPod Hi-Fi は雑に設置しても高音から低音までバランスよく聴こえるので現実世界で音楽が流れていると認識できるようになった。この大きく重たい本体は無意味ではなく、Beats Pill+ みたいな最近の製品と比べても余裕を感じる気持ちのいい音だ3。それとコントラバスの弓弾きがいい感じに聴こえるというのが自分にとっては重要なポイント。
iPod Hi-Fi である理由 2:無線もインターネットも信用できない
世の中の主流は Bluetooth スピーカーだ。●●の数ほど存在する。Echo みたいなスマートスピーカーでもクラウドにある音楽をスケジュール再生できたりする。なぜわざわざ iPod を使う?
...それは、単純に信用できないからだ。自動で電源がオフになる製品が多いし、無線っていつの間にか接続が切れることがある。インターネットだって繋がらない日があってもおかしくない4。半年に一回でもそんな日があっては困る。それに比べて iPod そのものが乗っている安心感ときたら! ずっと再起動しなくてもソフトウェアが安定しているし専用機の良さはある。
iPod Hi-Fi である理由 3:第三世代 iPod を現役復帰できる
第三世代 iPod が大好きだ。理由は前述の記事(→ 2015.8.25)にたっぷりと。
デジタルガジェットという数年で乗り換えるのが当たり前な世界だからこそ、長く使いたくなる製品に出会えるとうれしい。iPod Hi-Fi にしたってもう 10 年以上前の製品だけどいいものだ。
iPod Hi-Fi である理由 4:Apple Remote が使える
リモコンが付属する。そんな iPod Dock スピーカーは珍しくなかったけど、ここは Apple 製品の特権。リモコンが Apple Remote なのだ。
付属しているのは iMac G5 とかに付属していたのと同じ初期型のホワイトの樹脂製のものだけど、試しに試してみると(馬に乗馬)、信号に互換性があるのか後期のアルミ製のものも使用できるようだ。
個人的にはこのアルミの Apple Remote が好きで、地味に“質感のいい Apple 製品ランキング”の上位にくる製品ではないかと思っている。物理ボタンを押すと赤外線が出るだけのオーソドックスなものでありながらここまで製造コスト高そうな赤外線リモコンはほかに見たことない。切れ目のない 1 枚のアルミの塊の中に必要最低限な穴しかなく、いつ見ても波乱万丈「どうやって中身入れた...?」と思ってしまう。
ところで第三世代 iPod は付属品の Dock に乗せても外部出力音量は最大に固定され、変更することができない5。もっと新しい iPod だと赤外線受光部のある Dock も用意されていたことから Apple Remote での使用が最初から想定されていて音量を画面で確認しながら変更できるし、当然 iPod Hi-Fi でも音量情報が同期するようになっているのだが。
だめもとで試してわかったのだけど、iPod Hi-Fi はそんな 第三世代 iPod のこともしっかり考慮していた! Apple Remote のボタンを押すと、再生/停止や早送りなどの信号は本体に届けつつ、音量ボタンはスピーカーだけで処理する仕組みになっているのだ。これで十分使い物になる。
ちなみに iPod なしで外部入力で使用している場合にも音量ボタンが効くほか、再生/停止ボタンが消音トグルスイッチとして使用できるようだ。
iPod Hi-Fi である理由 5:取り回しがいい
大きく重い本体。だけど両サイドにハンドルがある!
ハンドルといえば初代 Macintosh、初代 iMac、Power Mac G3〜初期型 Mac Pro、初代 iBook など(eMate...?)ときどき Apple 製品に登場する要素なのだけど、これがあるだけで移動しやすさがまったく違う6。それに比べて iMac 27" の移動の大変さときたら...
さらに、電源を内蔵しているから運ぶのは本体と電源ケーブル7だけだ。Apple Pro Speakers のようなバラバラな塊をいくつも(それぞれケーブルでつながっている)運ぶよりずっと移動しやすい。
入力端子があるけど
iPod 専用スピーカーのように見える製品だけど裏側には 3.5 mm のステレオミニ端子がある。さらにこれはずっと Mac に採用されていたポートと同様、光デジタルの入力も受け付ける仕様になっている。
これは汎用性を高めているというよりは当時すでにあった AirMac Express で AirTunes(現 AirPlay)するためのものだろうけど8テレビやディスプレイにつないでゲームや映画、YouTube などを楽しむにも迫力があって十分使える。Xbox One X で Forza Horizon 3(車でオープンワールドを走るゲーム)を遊んでみたらエンジン音が気持ちよく体に響き、テレビの内蔵スピーカーでは物足りなく感じるようになった。
ただし残念なことがある。iPod が乗っているとたとえそこで何も再生していなくても入力端子が無視されてしまうのだ。せっかくそれなりに場所をとる巨大なスピーカーなのだから一台二役ぐらいはこなせればよかったのに。ほぼ目覚まし専用になっているからもったいない。Echo Spot(→ 2018.7.29)からの入力と共存させたかった...
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当時は興味なかったし手に入れたのは中古であるとはいえ、いざ自分の手元に届いてみると 2017 年にもなってジョブズの発表した新製品を開けるわくわく気分を味わえて幸せだった。
想像以上に気に入った iPod Hi-Fi。iPod 以外の音を再生する用にもう 1 台買ってしまった...!
Apple に限らず、昔手を出さなかった/手が届かなかった製品でも何年も経った現在では入手しやすくなっていたりするから調べる価値はあるかも9。
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ところで、“ひ to り go と”で使っている Markdown パーサ(→ 2017.12.3)が独自仕様で脚注に対応していると知ったので試してみました。
確かに流れを遮らずに補足を加えられるから文章を書くには便利で、ついつい使いすぎてしまった。美味い話ばかり目立つように書いてある商品ページみたいになっているかも...
途中で定義してもすべて最下部に集まる仕様みたいだから JavaScript でポップアップするようにしないと読みにくいかもしれない。必要であればそのうち手を加える予定。
2022.12.15 追記
@t_sas さんに教えていただいた情報によると、iPod Hi-Fi には隠しコマンドで特定の Apple Remote の紐付けや、iPod と外部入力の切り替えを行う方法があるらしい!
当時の Apple サポートページにはその方法が書かれている:
iPod Hi-Fi に接続されている iPod に切り替える:メニューボタンを押し続ける
(中略)
iPod Hi-Fi を付属のリモコンでのみ操作可能にするには、次の手順を実行します。
- iPod Hi-Fi の電源コードをコンセントに差し込みます。iPod Hi-Fi に乾電池を入れてある場合は、コンセントに接続する必要はありません。
- 他のリモコン対応製品 (上記を参照) が受光範囲内にないことを確認し、iPod Hi-Fi にリモコンを近付けます (約 7.5 cm ~ 10 cm の距離を維持してください)。
- リモコンの「Menu」ボタンと「次/早送り」ボタンを同時に約 6 秒間押し続けます。緑色のステータスランプが数回点滅します。これで、iPod Hi-Fi は登録されたリモコンにのみ反応します。
iPod Hi-Fi をリセットしてすべての Apple Remote に対応させるには、次の手順を実行します。
- iPod Hi-Fi の電源コードをコンセントに差し込みます。iPod Hi-Fi に乾電池を入れてある場合は、コンセントに接続する必要はありません。
- 他のリモコン対応製品が受光範囲内にないことを確認し、iPod Hi-Fi にリモコンを近付けます (約 7.5 cm ~ 10 cm の距離を維持してください)。
- リモコンの「Menu」ボタンと「前/巻き戻し」ボタンを同時に約 6 秒間押し続けます。ステータスランプが緑色に数回点滅します。
これで、iPod Hi-Fi はすべての Apple Remote に反応します。
これで部屋に複数台の iPod Hi-Fi や Apple TV が混在していても安心して Apple Remote が使えそう。
欲を言えば外部機器とは iPod の再生状態に応じて自動で切り替わる仕様がよかった。自分の場合は目覚まし用途なので戻すのを忘れると起きられない...
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ただし G4 Cube ほど惜しまれてはいない印象。 ↩︎
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Touch ID がない時代の iPhone でも無意識のままパスコードを入力して解除していた。 ↩︎
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HomePod の音は知らない。なぜ日本での発売がこんなに遅れるのだろう... ↩︎
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それを心配するなら停電もだろうと言われそうではある。 ↩︎
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ホイールを回すと Dock 関係なくイヤホンの音量が変わる。 ↩︎
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それに、ハンドルが付いている製品ってそれだけでかわいい。動物のしっぽみたいなものではないだろうか。ゲームキューブ大好き。 ↩︎
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汎用的なメガネ型の端子のもの ↩︎
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商品ページにも AirTunes を想定した説明があったような気がする。 ↩︎
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ただしハズレを引く可能性も大きいので注意。実は今回最初に買った中古品は長時間再生しているとプツプツ言いだす不良品だったから返品して買いなおした。その後 2 台目を買ったから 2017 年にもなって iPod Hi-Fi を合計 3 回開封したことになる... ↩︎
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