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M1 Mac で Bugdom や Nanosaur を遊ぼう

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えっ、GitHub でうろうろしていたら初代 Bugdom の Apple Silicon ポートを見つけてしまった。同じ Iliyas Jorio 氏の手によって Nanosaur や Otto Matic のレポジトリもある...!

🐥💬 各ページの Releases のとこからダウンロードできるヨ。 

OS X 移行期の置き土産

知らない人のために書いておくと、初期の iMac や iBook には Pangea という会社の 3D ゲームが CD でバンドルされていたのです。ここは昔から Mac プラットフォーム第一でゲームを出していたし、iPhone で App Store が登場したばかりの時期にもいち早く対応ゲームを出したのでそちらの方を思い出す人も多いかも。

これらの作品は 2000 年前後に登場しておりちょうど Mac OS X への移行期と重なる。そのため Bugdom や Nanosaur は Classic Mac OS でしか動かず当時の環境を維持してる人しか遊べなかったのだ。自分もたまに初代 iBook を起動すると毎回のように懐かしく遊んでしまう。それが 2020 年の M1 Mac で遊べてしまうなんて! 

ちなみにこのポートは Mac だけでなく最新の環境に最適化された Windows 版1や Linux 版も用意されているからほとんど環境を選ばずに動かせそうだ。

遊んでみた

自分のお気に入りは初代 Bugdom。虫の主人公を操作して捕まったてんとう虫を助けながらゴールを目指すアクションゲームである。続編である 2 は iPhone にも移植されているけどそれの細長い主人公よりもこの丸っこいローリーくんが好きだ。基本攻撃技のキックは足が短いため超接近戦しかできなくてつらいのだけど、その体型を生かして丸くなって高速移動ができ爽快感がある2。そして何よりかわいい(重要)。久々に遊んでみよう。

Apple Silicon ネイティブ対応

いくらポートしたと聞いていてもにわかには信じ難いのでダウンロードしてまず情報を表示。...本当に Universal だ!

起動してまず動くことそのものに感動したのだけど、次に本体内蔵スピーカーの進化を感じた。初代 iBook のシャラシャラした軽い音に慣れていたのだけどさすがにこの 2020 年の MacBook Pro はエントリーモデルとはいえずっと音がしっかりしている。

M1 Mac で動いた!

せっかく最新の Mac で動くようになったのだけど、本気で遊ぶときは今年買ったテレビにつないである Windows マシンで動かすことにした。初代 iBook の小さな小さなディスプレイとは比較にならない大画面であることに加え、最近の ARC 対応によって音が HomePod から出せて最高の環境だ。操作も Steam Controller でマウスをシミュレートする設定にしており微小なアナログスティック操作とかも快適にできる。

OLED の 4K テレビで遊ぶ Bugdom

Nanosaur はサイバーな恐竜になって敵の恐竜がひしめく場所から卵を拾い集めるゲーム。攻撃はなんと射撃。難しいけど何度かクリアした記憶がある。

Otto Matic はロボットが主人公で人間を UFO から救う?(よくわかっていない)これは OS X 時代に登場した作品で、比較的最近の Intel Mac でも Mojave までならオリジナル版が動くらしい。今でも現行機で動く公式の iOS 版が App Store にあるのでそちらで遊んでもよさそう。最近の i(Pad)OS はコントローラ使えるし。

実はその iOS 版が Apple Silicon Mac で動いたりもするがクリアまで問題なく遊べるかは不明3

M1 Mac で動かす iOS 版 Otto Matic

Bugdom にしろ Nanosaur にしろ、カメラ操作の不自由さとかちょっと立ち止まっているとすぐに同じ敵が何匹も画面外から集まってきて身動きが取れなくなる不条理さがあって今日の洗練された 3D ゲームを遊び慣れた身につらい面があるのは否定できないけど、当時だからこうなったゲーム性と魅力は表裏一体であり、そのままの形で動くことに意味があるのだ。当時の環境を何十年と維持するのも限界があるし。

Pangea 公認

もともと有料ゲームでありこんなものを配布していいのか心配になるかもしれないけど、それについても Nanosaur のレポジトリの README に詳しい経緯が書いてあるので少し訳しておこう。いつものように maclalala っぽい感じで(→ 2017.12.12)。

*     *     *

Nanosaur は Mac OS 8 が動く最初の iMac のバンドルであると同時に、当時 Apple が推していた高性能 3D グラフィックス API である “QuickDraw 3D” の能力を示すよくできたデモとしての役割も兼ねていた。

Nanosaur was bundled with the original iMac and ran on Mac OS 8. It’s also notable for being a prominent showcase of QuickDraw 3D’s capabilities, which was Apple’s high-level 3D graphics API during the 90s.

Pangea は 1999 年に Nanosaur のソースコードを公開。このポートもそれをベースにしている。(注:公開先の使用条件文にはいろいろ書いてあるけど4それは公開当初の話であって現在ではこのポートの存在を受け入れている。)

In 1999, Pangea released Nanosaur’s source code to the public. This port is based on that release. (Note: the restrictive terms in that link are ancient — Pangea does endorse the existence of this port today.)

Pangea 公式サイトで紹介されてる

Nanosaur は Pangea Software の許可を得てアップデートして再リリースを行なっている。

Nanosaur was updated and re-released here (https://github.com/jorio/nanosaur) with permission by Pangea Software.

基本はオリジナルの忠実再現

このポートは現在において最高の Nanosaur 体験を提供することを目指している。いくつかのモダン快適化(自由な解像度で表示できるなど)とゲームプレイに関わるバグの修正を盛り込んである。全体的な体験はあくまでもオリジナルゲームの魂の忠実な再現であるためゲームデザインに手を加えることは本プロジェクトの眼中にない。

This port aims to provide the best way to experience Nanosaur today. It introduces some modern comforts (such as support for arbitrary resolutions) and fixes some gameplay bugs. The overall experience is intended to be faithful to the spirit of the original game, so modifications to the game’s design are out of the scope of this project.

Macintosh Toolbox API をポート

ポートを簡単にするために私は Macintosh Toolbox API の一部を実装しなおした。それが“Pomme”だ。実際はもっと小規模だけど、クロスプラットフォームを視野に入れながら Carbon を再構築したようなものだと思ってくれればいい。その後 Pomme を拡張して Mac OS 7-9 時代のほかの Pangea 作品の移植にも使ったよ。

To make it easier to port the game, I wrote an implementation of parts of the Macintosh Toolbox API, which I called “Pomme”. You can think of Pomme as a cross-platform reimagining of Carbon, albeit at a much smaller scope. Later, I extended Pomme to port several other Pangea games from the Mac OS 7-9 era (see “other Pangea game ports” below).

*     *     *

こんな力業でポートするなんてオリジナルをクリアする時間の何倍もかかっただろうに Pangea 作品の魅力とそれを残したい気持ちが上回った結果なのだろう。Iliyas Jorio 氏には頭の下がる思いだ。


  1. オリジナルにも Windows 移植版があってそれを Wine で動かしたことがある(→ 2021.8.14)。 ↩︎

  2. メトロイドもそうだけど自分は主人公が丸くなれるゲームが好きなのか...? ↩︎

  3. 作品の序盤に登場する動くトマトの敵が生理的に無理でやめてしまった。 ↩︎

  4. 「Mac 以外のプラットフォームにポートするな」とか書いてある。 ↩︎

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