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MacBook Pro が冷えて薄くなるスタンドを作ろう

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単なる MacBook Pro 購入報告かのように見えた前回の記事(→ 2019.8.17)の最後で突如出現した専用スタンド自作話

わざわざスタンドを自作してまでも解決したい MacBook Pro の不満は:

  1. 少しの負荷で熱くなる
    • 手を乗せたくない
    • 安全のために性能が抑制されてしまう(サーマルスロットリング)
    • バッテリー寿命に悪影響
  2. トラックパッド部分が厚い
    • 段差で手が痛くなる

熱はともかく、本体を薄くするなんてそう難しいことではない。突拍子もなく Blender 2.8 リリース記念に 3D 空間で表すと MacBook Pro オブジェクトの Z 位置を少し下げて机の天板に食い込ませればいいのだ。木の天板だったら鑿(のみ)で MacBook Pro の形状の溝を掘ってしまえばよい。ついでにその下にヒートシンクを組み込めば効率的に冷やせるのでは? 一石二鳥!作ろう!

自作天板

...こんな単純な思考で新規プロジェクトを開始してしまったのも、これまでの作業環境改善の試行錯誤の結果、「机が母艦」という考え方(→ 2018.2.18)が発展して「机上の配置を最適化したいのなら天板ごと自作しないといけない」という結論に達していたからである。天板の上だけで拡張を試みても限界があるのは前回のプロジェクト(2018.2.24)の完成品の厚みを見ても明らかだ1

存在感のありすぎる前作“可動式パームレスト”

材料 1:木の板

あたかも木の加工を簡単そうに書いたけど、まだ木を掘った経験なんてない。本当に鑿なんて扱えるのか...? そんな人間が机の天板になりそうな高価で巨大な木の板を加工するのはリスクが大きい。なので今回は練習として「机の天板の上に置く板」で簡易的なものを作ることにする。

ちょうどいいところに、以前ホームセンターで買ってきて塗装した板が余っている2ので流用しよう。角が丸くて手触りが優しいのでぴったり。

ほどほどに大きくて角が丸い

材料 2:ヒートシンク

放熱のためのヒートシンクを探す。取り付け対象が「天板」だったら裏側にいくらでも貫通できたけど今回は「天板の上に置く板」だから面積を確保しつつも厚みを抑えたものでないといけない。

これに決めた。10 × 10 cm の接触面で 25 mm の厚みだ。これが 2 つあれば発熱部をカバーできそう。ネジ穴も空いているのでいい設置方法があるかもしれない。

じかに接触すると MacBook Pro が傷ついてしまうため、熱伝導性が高くて厚みのあるシートを挟む:

見た目より高価

ただしこのシートには粘着力がないものの両面ともにぴったりと吸着し、MacBook Pro を持ち上げるとそちら側にくっついて行ってしまうため上面の保護シートを剥がせずにいる。何かいい手はないものか...

何はともあれ効果を見るために MacBook Pro を乗せてみる。重い処理として Blender でレンダリング実験をしよう。

こんな大きさ

結果、やはり筐体の外から手を加えるだけだと、重い処理をすれば当然 CPU 温度は上がるし内蔵ファンも回りだして音がするのは変わらず、残念。内部での発熱だから仕方がないか。

それでも処理中のパームレスト部分とか終わった直後の本体裏面を触ってみても以前ほど熱くない。ヒートシンクに熱が移動しているみたい。おお、これは夢の“熱くならない MacBook Pro”ができたのでは!?

だが何度も繰り返していくうちにヒートシンク全体が MacBook Pro と同じ温度に達する。すると熱が移動しなくなるので、ヒートシンクの方が速く冷めない限り筐体を冷ます効果はなくなってしまう。ここで自然空冷による放熱に期待をしていたのだが、下向きの設置でしかも一面が塞がれていてはなかなか熱が逃げることもないようだ。

材料 3:ファン

そこでファンを設置して空気の流れを作る。ヒートシンクとファン、極めて一般的な組み合わせである。

MacBook Pro 自身は背面の左側から吸い込み右側から排熱するため3、ヒートシンク側のファンの方向も揃えないと MacBook Pro の排熱を吸い込んで内部に熱風を送り込むことになってしまいそう。

ひとまず 40 mm、60 mm、80 mm、120 mm と一通りのサイズそれぞれの静音を謳うものを買って試している。製品ごとの特性はあるけど基本的には小さいと風量が少なくなるし、無理して風を出しても不快な高い音が発生してしまう。それでも大きすぎると物理的に置けないので 80 mm ぐらいが妥当だろうか。

120 mm は巨大だが静か

ファンへの電力供給は自作ケーブル、ではなく悲しいことに電子工作の知識がないので市販の USB 変換ケーブルを使用。ケーブルで分岐して 2 台接続しても問題ない、のかな...?

作る

ここまで揃えば鑿で掘るのみ! MacBook Pro の寸法に合わせて鑿で掘る。

こんな作業初めてなので出来は荒いけど、こればかりは何度も練習して上手くなっていくしかない。

初めての鑿
自画像

そして支えの板を接着し、ヒートシンクとファンを取り付ければひとまず使えるようになる。

安定しているもののファンの風が届きにくい。固定方法は改善の余地がありそうだ。ファンそのものもまだ選定中。

ひとまず完成

完璧ではないものの使える状態になった。さっそく MacBook Pro を乗せてみる。

スタンドが大きすぎて逆に存在が消えているのがおもしろい。

MacBook Pro がまるで MacBook Air のような薄さになる効果も発揮している...!

ヒートシンクは置くだけでなく溝に入っているから Mac の左右に力を加えてもグラグラしない4。手を乗せて作業してもいい感じだ。そして熱くなりにくい。もう少し角度を抑える方が好みだけれども、現時点でだいぶ快適に作業できている。

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日本にはもはや猛暑じゃない夏が来そうにないけど MacBook Pro は今後も放熱に不利な薄型筐体路線が続くだろう。だからこそ机全体の周辺環境まで視野に入れて新しい向き合い方を考えていく必要がありそうだ5

2020.4.29

この作品のアイデアを取り入れて可動式パームレストをさらに進化させました(→ 2020.4.29)。


  1. 完成編を書かずに放置していたものを話の流れでさりげなく披露するという愚行。この“可動式パームレスト”は実際に使ってみると思惑通り快適な姿勢で作業できて気に入っているのだけど、会った人々に自慢のつもりでこのビデオを見せたときに「うん...」「私は、いらないかな...」「邪魔そう...」などと薄い反応をされてしまったのが悔しい。 ↩︎

  2. 元々は写真にあるように“可動式パームレスト”の奥に置いたものが取りにくいから用意したもの。やはりこういう機構は天板に埋め込まないといけない。 ↩︎

  3. エントリーモデルの場合 ↩︎

  4. MacBook Pro の手前が浮くと危険なのでそこに小さな出っ張りを付けてある。そのせいでこれにセットするとフタを開けられなくなってしまったのは欠点。 ↩︎

  5. ここまでしなくてもデスクトップ PC を使えばいいのではと言われればそれまでだが、今はあえて違う方向を追求してみたい気持ち。 ↩︎

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