ひtoりgoと

100 円の部品交換で MacBook Pro のクリックボタンを修理

Mac ハードウェア

またトラックパッドの話。どうも世の中“タップでクリック”派の声が大きいようで「物理クリックなんて使わないからなくなってもいい」なんて声をときどき耳にするからしつこく何度も書くけど、自分はカチッと押し込まないと気が済まない物理クリック派。細かい操作を繰り返すにはこれがないと困る。

それはさておき今日の主役は 2010 年に購入した 13 インチの MacBook Pro(→ 2010.5.1)。Retina ディスプレイを搭載するまえのユニボディ MacBook Pro はそこそこ性能があって内部の部品交換も簡単できるから何年も実用的に使えるいいマシンだ。今もサブマシンとして活躍している。

とはいえ長く使っていると劣化する部分は当然あるわけで、使うたびに何百回とクリックするトラックパッドのボタンはだいぶ反応が悪くなった。押すとカチッと音はするけど、そこからさらに強く押さないとクリックとして認識されなくなってしまったのだ。

トラックパッドのクリックボタンの修理は経験がある。それは Magic Trackpad だったけど(→ 2014.10.12)数ヶ月経った今でも問題なく使えている。あのときはドーム型のバネの劣化が原因で、それを曲げ直したら直ったのだ。同じ時期に同じ会社が設計しているし似たような構造だろう。今回も同じ方法で直るといいな。

以下、いろいろと Apple が保証していないことをするのでやるなら自己責任で。安全に直したい人は Apple Store に持ち込んで高い修理代を払いましょう。

先人に学ぶ

分解方法を調べるときにわかったのだけど、自力で修理した人は何人かいて、軽度の症状なら高さ調節用のネジを回すことで少し回復するようだ。このネジは Magic Trackpad にもあった。

さらにドームが劣化するとこの方法では限界があるので、症状が重い人はトラックパッド丸ごと新しいものを購入して交換しているようだ。

個人的にはそれは最終手段にしたい。高性能なマルチタッチセンサーが問題なく機能していて、表面には傷一つなく、高級感ある見た目・手触りがまったく購入当時と変わっていないのに、ほんの一部の部品が劣化しただけで丸ごと交換するなんてどう考えてももったいない!

構造を確認

実物を目にしないと何とも言えない。トラックパッドはバッテリーの裏にあるので持ち上げる。もしバッテリーが膨らんでいるならトラックパッドではなくそちらが原因の可能性が高い。幸いこの Mac のバッテリーは膨らんでいなかった。

ちなみに今回も特殊ドライバのセット(→ 2015.3.22)が大活躍である。

さて、Magic Trackpad と同じように修理するためにはドームスプリングを採用しているかどうかが鍵である。バッテリーの下から現れたトラックパッドを取り外すとそこには、ドームが、...あった!

基本的に Magic Trackpad と同じ構造のようだ。宙吊りになっているのがトラックパッド全体なのか底面に内蔵された横長の金属部品なのかという上下方向の違いはあるけど、押すとそれが動いて隙間が狭まりドームスプリングも押されるという仕組みは同じなのだ。

最初の挑戦:曲げ直し

シールで貼ってあるドームを取り出して曲げてみる。冗談みたいな方法だけど Magic Trackpad のときは上手くいった。

...数分間曲げた結果、押しても単純な通電スイッチとしては機能するけど、ボコッと凹むクリックの独特な抵抗がなくなり音もしなくなってしまった!

前回の成功もあってか調子に乗ってラジオペンチでグイグイ曲げてしまったのが原因だと思う。前回はあくまでも手で少しずつ曲げていた。これはまずい。

その後、慎重に曲げを繰り返して修正を試みるが弾力は回復しなかった。どうする!?

代替部品を検討

実は前回の Magic Trackpad 修理のあとドームスプリングについて調べてわかったことがある。

  • ドームスプリングは Apple 製品以外にもカメラや携帯電話のボタンなどに使われていてそこまで特殊なものではない。
  • 個人でもばね専門販売サイトで購入することができる。

こういうサイトで同じようなサイズの部品を買えばいいわけだ。しかし割と一般的とはいえあまり個人が使う部品ではないので上記のサイトだと最低でも 30 個から買わなければいけないみたい。それも大げさですね。

何か普及しているものの部品を流用できるといいな。そういえば携帯電話にも使われているんだった。携帯電話... iPhone のホームボタンはもしかして!?

使っているうちにホームボタンが効きにくくなった話をよく耳にするし、そうかもしれない。検索して iPhone のホームボタンの分解写真を目にすると、そこにはドームスプリングがあった。

さっそく amazon で探す。さすが iPhone は部品が入手しやすく送料込みでも 100 円前後で販売されていたので迷わず購入。自分は未だに iPhone 4S ユーザなのでそれ用のものを予備も含めていくつか注文したのだ。

もしかすると iPhone 5 の方が改良されて長寿命だったりするのかも...

届いた部品

後日届いた部品は、丸い金属部分を押すとペコペコ凹む予想通りの品だった。このドームを流用できそうだ。プチプチみたいで気持ちいいから何度も押してしまう。ペチペチペチペチ...

ドームだけ購入するのと違ってすでにシールで貼られているのはよかった。前回は平面のテープを上から貼ったけど隙間ができて押すたびにペチペチ音がしてしまう問題があった。数ヶ月使っていたら音はしなくなったけど、ぴったりのシールが手に入るに越したことはない。これをそのまま移植しよう。

誤算

早速、取り付け。トラックパッドを取り外して届いた部品と比べてみる。

だいぶ径が大きかった。トラックパッドの方が小さいなんて予想外! 直径はそれぞれ 4mm と 6mm ぐらい。使えないかも...

それでも取り付ける

この程度ではあきらめない。アルミホイルを小さく切って接点を延長。

この部分の厚みが大きいとドームが浮いてしまい、カチッとトラックパッドを押してもドーム中心が接点に届かずクリックとして判定されないことがあるので、折り曲げたり重ねたりせずに 1 枚分の厚みに抑えるようにする。

...もちろんこんなことせずに直径がぴったりのものを用意するのが理想だ。いい代替品があれば教えてください。

上手く貼れたらトラックパッドを Mac に戻すのだけど、これまでとはドームの厚みが変わるので Mac 側にある高さ調節用のネジを回す。細かい回し具合が押したときのクリック感を大きく変える重要な作業。

結果

トラックパッドを押すとパコン!と元気な音がして画面も反応する。快適に操作できるようになった。ちょっと音が大きすぎる気もするけどそれは高さ調節ネジをもう少し締めれば解決するだろう。

交換部品が 100 円で手に入るとなると、今後はボタンの寿命があるからと遠慮することなくクリックできて精神的にも楽になりそうだ。

同じことをすれば Magic Trackpad にもこの部品を流用できるのではないだろうか。ただ、現在メインに使っている Retina ディスプレイを搭載した MacBook Pro の方はバッテリーが接着剤でくっついているらしいのでトラックパッドを取り外すのが大変なのではないかと心配している。ネジがダメならせめてマジックテープにしてくれればいいのに。

感圧タッチ式トラックパッド

今年になって新しく登場した MacBook や MacBook Pro では、感圧センサーと振動によるフィードバックを組み合わせた新しいトラックパッドが採用された。

発表前に流れていた“12 インチ MacBook Air”の噂では「機械的なボタンが廃止されて押し込めなくなる」としか書かれていなかったので物理クリック派としては心配だったのだけど、さすが Apple。薄い筐体においてもクリック感のあるボタンを搭載する仕組みを考えてくれた。しかも感圧によるアナログ操作や二段階クリックのおまけ付き。

今回修理した“押し込めるトラックパッド”は 2008 年のユニボディ MacBook & MacBook Pro で初めて採用された。自分は「こうなってほしい」と書いていたぐらいなので(→ 2008.10.16)とても使いやすいのだけど、奥を固定して宙づりにしているため手前しか押せない構造であり、これは手前に独立したボタンのある従来のトラックパッドに慣れた人じゃないと快適な押し方がわからないのではないかという気はしていた。これも感圧センサーを採用することによってパッド上をどこでも押せるようになり解決されたのだ。

任天堂・宮本茂氏の「優れたアイデアは複数の問題を同時に解決するものだ」という話があるけど、まさにそれだ。

ただ、クリックを繰り返すことによる寿命はどうなっているのか気になる。機械的に大きく変形する部分が少ない分伸びているといいのだけど。今回のように人の手で修理なんてできなさそうだし...

そういえば今回の感圧タッチ式トラックパッドは Mighty Mouse のサイドボタンに似ている。あれも内部に感圧センサーが入っていて押したときのフィードバック(スピーカーからクリック音)がある。物理的なクリック感はないのだけどカチッと音がするだけで脳が軽く錯覚するのが不思議。

Apple の“ユーザの脳を騙す”試みはいつも面白い。 2012 年の iMac は一見薄くても真横から見ると膨らんでいるじゃないかと批判があったけど、「ほとんどの角度から見て薄いならそれはもう薄いのと同じだよね」ということ。素直に 5mm の厚さだと錯覚しながら使う方が幸せ。

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